おたんじょう





まばゆい ひかり
生まれて はじめての かんかく
いままで つつんでいてくれた
あたたかい壁が どこにもない

宙に浮く ぼくのからだ

泣く ちからのかぎりに 泣く
ふるえて うごきはじめた 肺

こわい  こわいこわいこわい

これが ぼくの おたんじょう








------ちいさくて あたたかい------








ねむりから覚めたら なんだかいい気分
ふぅ と ためいきをついたら
「ふぅ」と音がしたよ

「ふぅ」「ふー」「ふぃ〜!」

「あー」「あー」「あー」

おもしろいな ぼくの声
そう これが ぼくなんだ

ぼくがここで 生きている








------やわらかくて やさしい------








さっきから 目のまえに なにかある
もじょもじょ もじょもじょ うごいてる

ふしぎな かんかく なんだこりゃ?!

こうすると こうにうごくね
こうすると こうなるんだー

よくわかんない
そんなときは 迷わず くちへ

あーんぐり
もぐ・もぐ・もぐ・もぐ・・・

これも ぼくだ
ぼくの 手だ

きっとそうだ ぼくなんだ

ぼくがここで 生きている








------ありがとう ありがとう------














2004.07.30
背景素材:「月の歯車」